歴史と文化

湯島の「梅まつり」

今年も湯島天神で『梅祭り』が開かれます。
湯島天神では今年も2月8日から3月8日まで『梅まつり』が開催されてます。
そこで今回は湯島天神を取材してきました。
湯島天神と言えば「湯島の白梅」。湯島神社は言わずと知れた梅の名所、 もちろん菅原道真公の「東風吹くかば 思い起こせよ梅の花・・・」にちなんで植えられた梅の木。
境内には約400本の梅の木が植えられています。
これを有名にしたのは、泉鏡花の小説「婦系図」。
早瀬主税とお蔦の別れ話の舞台になった場所です。 湯島は北に位置する湯島神社と南に位置する湯島聖堂の二つの文化が同居する地域です。
江戸時代から湯島神社には門前町が生まれ当然の成り行きとして岡場所を初めとする歓楽街が形成されます。
南のお茶の水よりには湯島聖堂を初めとして多くの学問所が作られます。
早瀬主税(ちから)は元はスリであったものを師である酒井に拾われ翻訳の助手をしている。酒井の娘の縁談話が持ち上がり、 それがきっかけでお蔦との所帯が酒井にばれてしまう。師匠からの申し渡しで主税はお蔦との別れを決意する。
元芸者のお蔦と学問に生きる主税との関係が、湯島神社の歓楽街と、 湯島聖堂を初めとする学問のメッカとの対比に似ていて興味深い構図になっています。
(物語の中ではお蔦は柳橋の芸者であったことになっています) お蔦は主税を別れたあと病にふして死んでしまいます。
「蔦」と言う名前からして、何かにすがって生きるというイメージを象徴させたかったのでしょうか? 同じように木に絡まって生きていくものに「藤」や「葛」というものもありますが、 藤はきれいな花を咲かせるし、葛では「クズ」につながりそうで、 薄幸な女のイメージとしてはやっぱりだめっだったのでしょうね。
写真は境内に咲く梅の花。
ちなみに、「婦系図」のあらすじは前半は悲恋物語ですが、 その後の後半は復讐劇になり主人公の主税が復讐を成し遂げたあと自殺で幕を閉じます。
宿命と怨念の美学というところでしょうか。
(と言う具合にここまで書きましたが、実は「婦系図」の原作の中には、湯島神社での別れの場面は存在しません!。芝居に取り上げるときに劇作家が演出で付け足したのでしょうね。となると、上の文章では泉鏡花が意図して描いた世界のように表現してしまいましたが、筆者の勝手なこじつけです。作品が有名になりすぎて、いい加減な解説で一人歩きするという典型です。)

気分を変えて・・・
ちょっと足を伸ばして歩けば間もなく不忍池に出ます。マガモがのんびりお散歩中でした。

●場所:文京区湯島3-30-1
●お問い合わせ:TEL. 03-3836-0753
●御祭神:
・天之手力雄命(あめのたぢからをのみこと)
・菅原道真公
●アクセス:JR「御徒町」徒歩7分
地下鉄千代田線「湯島」徒歩2分
銀座線「上野広小路」徒歩5分
大江戸線「上野御徒町」徒歩5分
丸の内線「本郷3丁目」徒歩7分
●公式ホームページ:
http://www.yushimatenjin.or.jp/main.htm
●詳しい 解説はこちら:
http://www.tostek.com/tokyo23/omaturi/jisya/jin015.htm
●御利益:難試験合格・開運等
梅のはな1

梅のはな2

梅のはな3

梅のはな4

不忍池

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